キャンプの師匠
キャンプの師匠の周りには、音の出る物が無い。
テレビジョン、パーソナルコンピューター、音楽、と音の出る物が何も無い。
何も無い生活、人間の原点を楽しむ。僕の師匠はそのような人だった。
僕は自転車のキャンパーに道具を全て積んで、その重量は体重を入れて100kgになる。
それに乗り師匠の待つキャンプ場を訪ねるわけ。
師匠の車は、まず1台目はデリカのバンを自分で改造を加えたキャンピングカー。
2台目はデリカのオートフリートップのキャンピングカー。
3台目はロートレック150であった。
毎週末はその車に乗り、キャンプ生活を楽しんでいた。
着いたらまずビール、そして車の屋根に付いているタープを引き出し前室を作る。
右にはキッチン、中央にはダイニングテーブルと椅子をセットする。
出来上がると、まずビール。そして小川に行き、岩魚を釣りに行く。
焼いて食べたり、ダンボール箱のような物に入れて燻製を作り、出来たら食べ、飲む。
いつしかこの楽しい時も眠気を呼んでくる。
食べ物が焼ける音、その香り、キッチンの音、風、小川の流れの音。
あとは闇に包まれる。それしかない。
携帯電話も鳴らない。まるで僕のアトリエのようだ。
時々師匠の事を思い出す。亡くなって何年経つのだろうか。
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