ブランドの優雅 1
七十年代の話になりますが、パリで仕事をしていた頃です。
せっかくの休日の朝は、太陽の光を目覚まし代わりにして
ゆっくりと熱いシャワーを浴びてタオルで髪を拭きながら、
なんとなく煙草の煙が洗いざらしの髪に付くのを気にし、
クリーニング屋から上がってきたばかりのシャツに袖を通す。
まぁ、彼女が洋服を買いに行きたいと言うから、
ちょっと洒落てみようかなと言う感じで・・・
モッシュの帽子、ジバンシージェントルマンの紺のダブルのジャケット。
カシミヤ入りのグレーフランネルのトラウザース、
ブルーストライプのシャツにペイズリーのタイにポケットチーフ、
アーガイルのソックスにウイングチップの靴、
フォックスの傘にペッカリーの手袋。
この様なスタイルだとどんな高級店に行ってもおかしくないし、
女性にも失礼に当たらない。
その当時でも、僕らにとってはブランド品は高い。
ちょうどDIORのセールの招待券を持ってた僕は、
スーツが欲しいと言う彼女を連れて、
マロニエの葉が散ったアヴェニューモンテニューを
ゆっくりとタクシーで向かって行きました。
昔は、皆さん御存じの大きな入口とは別に、
今は分かりませんが、脇に赤いテントの付いた入口がありました。
そこにはきちんと制服を来た門番がいて(帽子にはCDマークが付いている)
車で来ると、ちゃんと車のドアを開け
「ボンジュール マダム、エ ムッシュー
(フランスでは若くともマダム)
今日はどのようなお買い物を?」
と問いかけてくれる。
その微笑みは「ようこそ我が店に」と言っているかのように。
それには、自分の仕事に対するプライドと
DIORに勤めていると言う自信がうかがわれます。
「今日は二階のソルド(バーゲン)へ」と言うと
その男は、白い手袋を右斜めに揚げ
赤いじゅうたんの階段を指すのでした。
「今日も素晴らしい事がお二人にあります様にお祈り申し上げます。」
なんとキザな言いまわしでしょう。
「通常のお客さんは、左の入口から、招待状のある我々は違うの!」
<<ブランドの優雅 2 に続きます>>











コメント