待ち合わせにもスタイル Vol.4
キャフェの重い扉を開けて日に焼け、
健康そうな人が入ってきた。
「おや、荒木さんこんにちは。今年のレースはどうだった?」
「いやぁ、ドクターストップがかかっちゃってね、お恥ずかしい。」
「僕も去年から、調子が悪くて。お互いに気をつけましょう。」
荒木さんはいつものようにニコニコしながら、
席について先に来ていた友人たちと話し始めた。
その後、昔と同じ笑みを浮かべながら彼女が入ってきた。
立って迎えるべきか・・・・・・。
このままでいよう。大袈裟にするにもここは東京。
僕のグラスに残ったビールは少し気が抜けて、
泡が寂しくなってきた。
ビールの泡の向こうに君の笑顔が見える。
昔と変わらない笑顔と話し声。
この何年もの間、別々の二人に何があったのだろう。
取り留めも無い昔話から始まって、
10分間の短くて長い、そして終わりの無い話。
「お互い色々あったんだねぇ」と
ありきたりの台詞がそのストーリーの終止符だった。
「ところで、お腹空いた?」
すると、彼女が「何が好きだったっけ?」
「僕ね、今日雑誌を見て行きたい所があるんだ。
フレンチでもいい?懐かしい味だと思うけど」
僕は笑いながら立ち上がり、
彼女が出やすいようにテーブルを引いた。
「何だ、背が大きくなってないなぁ」
僕の言葉に彼女は
「あたしたち幾つだと思っているの?」
戸口の席に羽田さんがいた。
彼女が出るために戸を左手で開けながら、
「この前、五反田のパーティーは素晴らしかった」
「あっ、どうもどうも。居るのが分からなかった」
軽い会釈とともに、キャフェの外に出る。
「寒くない?」彼女は首を振った。
さぁ、これから長い年月を短縮しないと。
最速で、しかも焦らず優雅に。
だから僕たちは寂しく優美な短距離ランナーかもしれない。
大人の男と女におけるランデヴーのスタイル、
僕はもっと修行しないと。
【Fin】











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