アイアンマンへの夢 第五話 「君との約束」
だからしょうがない、習ってもいない平泳ぎ。
故進まない。
土手からは「勇気あるリタイヤもあるぞー」。
自分の気持ちの中には、
「ここまで来るのにいくら金を掛けたんだ」。
しかし顔がつけられない。
しばらくすると、マーシャルの船が近づいてきた。
「リタイヤしますか?」
その時、船の波で「ガボッ」とその水を飲んでしまった。
するとどうだろう。汚い水が何ともなくなってしまったんだねぇ。
そこから、クロールスタート。
何人か抜いてスイムを終了。これから得意の陸の上。
バイクに飛び乗り、すいすいと抜いていく。
20kmくらいの地点で、何故か背中が暖かくなるのを感じた。
そしてバイクはより早くなる。
僕は霊感を感じた事はないが、ひょっとして、
彼が背中についているのでは?
とにかく早かったが、(そこの部分は少し傾斜になっていたのが後で分かった。)
そして、バイクの後はラン。
この様に最初の大会は無事完走した。
その次の年も、もう一度、同じ大会をエントリーした。
そうしたら、彼のお母様からなんと大会と同日に3回忌をやると言われた。
僕は彼との約束があるので、出席をお断りし、手紙を添えた。
その2回目の大会は何もかもがスムーズ。無事に僕はゴールした。
3回忌に出席した人から聞いた話だが、
僕の手紙が何と丁度僕がゴールした時間に読まれた。
「今日は君との約束の試合だ。
今回は君の力を借りずにゴールするから、ちゃんと天国に行って下さい。」
多くの人が涙を流したそうだ。
【第六話へ続く】































